安藤サクラ主演の『0.5ミリ』で魅せる人との距離感がいい!
3時間を超える長編シナリオと、随所に散りばめられているエピソードには忘れがたいものがあります。加速していく高齢化社会や無縁社会を、痛烈に笑い飛ばしてしまうようなエネルギーに圧倒される映画です。
ヒロインの山岸サワを演じている、安藤サクラの破天荒な振る舞いとより所のなさが印象深いところ。訳ありの老人たちの弱みを握ってつけこみながらも、自分自身の過去については決して語る事がないのがミステリアスで、この作品の独特の雰囲気を演出しています。この映画の題にある「0.5ミリ」という人との距離感をどう感じるかは、この映画を見た人がそれぞれ感じるところ。
振り込め詐欺や胡散臭い投資話にあっさりと引っかかってしまったり、自転車泥棒や万引きを繰り返してしまう高齢者たちの後ろ姿には一抹の寂しさが漂い、経済的には恵まれていながらも、どこか満たされることのない心の闇が伝わってくる。
老後への漠然とした不安を抱えている方たちばかりではなく、若い世代の人にも見てもらいたい作品です。
映画「0.5ミリ」詳細・キャスト
監督・脚本:安藤桃子
制作:長澤佳也
主題歌:寺尾紗穂「残照」
キャスト:安藤サクラ、津川雅彦、柄本明、坂田利夫、草笛光子
0.5ミリ あらすじ
介護ヘルパーとして働いている山岸サワは、料理が得意で気配りも利いてお客さんからの評判も上々。ある時派遣先の顧客である片岡雪子から、死期の迫っている父親の昭三との添い寝を頼まれてしまう。渋々引き受けたサワだがが、その日の夜に片岡家で火事が発生して、雪子は自らの生命を絶ってしまう。
突如として勤め先と住むところを失ったサワは、見知らぬ街をあてどなくさまよい歩きながら身寄りのないお年寄りの家に押しかけてヘルパーをすることにする。
第二次世界大戦中に海軍に従軍していた真壁義男の万引きを目撃して、強引に真壁家のお屋敷に上がり込んでしまう。戦争の記憶と認知症の進行が著しい妻に苦しんでいる義男との触れ合いの中で、サワの心の奥底にも微妙な変化が湧いてくる。
義男の元を去ったサワは、雪子の元夫であり造船所で働いている佐々木健の元へとたどり着く。健の息子であるマコトに自分と同じような孤独を感じたサワは、彼を車に乗せて旅立っていくのでした。
管理人@つぶやき 0.5ミリ 邦画おすすめ度 ★★★★
なんともいえない余韻がある。3時間を超える長時間で起承転結がはっきりしないストーリーにもかかわらず、描かれる人物たちにひきつけられていきます。坂田利夫をこんなふうに使うか~など関心させられるところが多々ありw
映画賞受賞歴/0.5ミリ
第39回報知映画賞/0.5ミリ
- 作品賞
- 助演男優賞:津川雅彦
第69回毎日映画コンクール/0.5ミリ
- 脚本賞:安藤桃子
- 女優主演賞:安藤サクラ
第57回ブルーリボン賞/0.5ミリ
- 主演女優賞:安藤サクラ
第38回日本アカデミー賞[/0.5ミリ
- 優秀主演女優賞:安藤サクラ
第88回キネマ旬報ベスト・テン/0.5ミリ
- 2位