とにかく泣きたい!人におすすめな映画「容疑者Xの献身」
容疑者の「献身」っぷりが明らかになるラストシーンから、エンディングソング『最愛』によって石神に感情移入せざるを得ないエンディングロールにかけては、涙なしにはいられません。よって、とにかく泣きたい、しかしカップルが病気で生き別れていくようなありがちなお涙頂戴映画はまっぴらごめんだ、という方に『容疑者Xの献身』はピッタリ。
また、犯人は最初から分かっているものの、石神が使ったアリバイトリックは推理の価値があるかもしれません。トリックを見破るヒントは映像の中にきちんと現れています。したがって推理物が好きな方は石神・湯川との推理力比べを楽しむのもこの映画の見方です。
堤真一ファンにおすすめなのは言わずもがなです。出演している方々は本当に豪華なので、一人でも好きな出演俳優がいる方は有効な120分の使い道にになること間違いなしです。
映画「容疑者Xの献身」のここがイチオシ!みどころポイント
『容疑者Xの献身』は、堤真一の演技が光る石神の味わいの深さによって、テレビドラマの「劇場版」から映画としての「名作」に格上げされていると言っても過言ではありません。それくらいこの映画の堤真一は絶品なのです。まさに怪演です。
なぜ絶品なのか、それは石神七変化とも呼びたくなる、見ている人を翻弄する石神という人物の多面性を堤真一が繊細な演技によって表現しているからだといえます。タイトルの『容疑者Xの献身』というのは、ストレートに理解すれば紛れもなく石神の、花岡親子に対する「献身」と取れますが、堤真一の演技は、何故石神が「献身」つまり自己犠牲という形を取ったのかという理由をストーリーで示すより切実に私たちに納得させるのです。映画というメディアを使う以上、それを見る私たちは映画品質を期待せざるを得ません。この映画では堤真一の演技だけでその品質を楽々超えてしまうのです。
加えて、個人的には柴崎コウが唄うエンディングソング『最愛』と石神の心情のマッチにもグッときます。エンディングで石神は留置所の中で天井を見上げ、数学の四色問題を思い浮かべます。この映画の中で四色問題は、隣人同士だった石神・花岡親子と、同じ色が隣り合わないという四色問題をリンクさせ切なさを増長する役割を果たしていますが、そこにこの歌詞です。「愛さなくていいから」「愛せなくていいから」という献身、自己犠牲の精神と、それを心穏やかに受け入れる石神の姿にグッときてしまうのです。
Comment
たしかにあの映画の堤真一はすごいですね。
演技神というより、演技モンスターでしょうか。共演者はみんな下手くそに見えるので危険です。
(松雪泰子とその娘はとても良い演技をしていましたが)
週刊誌で日本一演技の上手い俳優に選ばれたのは、この映画の影響が大きいと思います。
テレビドラマからのお遊び映画かと思ったら、堤真一の演技力で日本映画を代表する作品になったと思います。
堤真一の演技は、ジャックニコルソンとロバートデニーロに通じ、心に秘めた雰囲気の表現力が完全に異次元でした。役所広司よりもさらに数段上のレベルだと思いました。