映画「幸せのレシピ」で見る監督スコット・ヒックスの作品と演出
数々の名作を手掛け、栄光を手にしてきたスコット・ヒックスが監督を務めた「幸せのレシピ」は、人々の成長が描かれた心温まるラブコメディとなっている。原作である、「マーサの幸せレシピ」とストーリーはほとんど変わりなく、忠実にリメイクされている。
しかし、原作と1点だけ違う点がある。それは、姪のゾーイの実父が登場することである。リメイク版では、ゾーイの実父が出てくることはないが、原作ではゾーイの実父が出てきて、ケイトからゾーイを引き取ろうとする物語が組み込まれている。
人とのつながりや、人との関わり方などが描かれた「幸せのレシピ」は、働く女性を中心に、ぜひ目を向けてもらいたい作品だ。
映画「幸せのレシピ」の監督スコット・ヒックスと作品の傾向
スコット・ヒックス監督と聞いて思い浮かぶのは1997年のアカデミー賞7部門にノミネートされた「シャイン」の監督ということです。この作品の評価により一流監督として認められるようになった。
スコット・ヒックス監督は、オーストラリア出身の映画監督兼脚本家でもともとドキュメンタリーを得意としている。
1989年天安門事件直前の中国を撮影したテレビドキュメンタリー作品「鉄壁・万里の長城」がピーボディ・アワードの最優秀ドキュメンタリー・シリーズ賞に輝き脚光をあびた。それから6年後、作曲家フィリップ・グラスをテーマにしたドクメンタリー長編「Glass A Portrait of Philip in Twelve Parts」を制作し、トロント国際映画祭で絶賛された。
デビュー作である「Sebastian And The Sparrow」では、フランクフルト国際映画祭で作品賞を受賞したほか、2つの国際映画賞を獲得した。その後、テレビ ミニ・シリーズを手掛け、「Submarines:Sharks Of Steel」でエミー賞特別功労賞を受賞した。
その他にも、「ヒマラヤ杉に降る雪」、「アトランティスのこころ」も好評を得ている。特に、日本では工藤夕貴の出演で「ヒマラヤ杉に降る雪」が話題となった。
どの作品も凝った演出はなく、ただありのままを映像にすることで映画にリアリティを感じさせ、見る側の感じ方を大事にするところが、ドキュメントを知る監督ならでは。
ぜひスコット・ヒックス監督の作品を自分の感性で味わってください。