映画『メッセージ』に込められた意味とテーマ
『メッセージ』は分類的にはSF映画として分類されます。それは地球に宇宙人がやってくる物語だからです。
しかしそれは表面的な物語であって、実は『メッセージ』のかなには大きく分けて3つのテーマが込められています。
『メッセージ』の奥にある、3つの構成からその意味を探ってみたいと思います。
映画『メッセージ』のテーマ①・・・「死」
この映画の冒頭は死から始まります。主人公のルイーズの娘ハンナが死ぬシーンが冒頭で描かれています。映画の最初が「死」から始まる作品はあまりないと思いますが、『メッセージ』は死でスタートします。
しかしこれはラストまで見ると分かるのですが、この死は過去の出来事ではなかったのです。これから先に起こる未来の出来事だったのです。でもこれは最後まで映画を見ないと観客には分かりません。つまり私たちは最後まで娘が死んだと思って映画を見ています。
物語の途中でもルイーズの頭に何度も娘がフラッシュバックしてきます。そのシーンでルイーズは娘の死を忘れられていないと思ってしまいます。
これは監督の狙いで、映画を見ている間に私たちに「死」というものを考えさせるようにしていたのです。
映画『メッセージ』のテーマ②・・・時間の概念
これは①の死が実は未来のことだったという事と繋がってくる事ですが、この映画の中には過去、現在、未来という時間の概念はありません。時間は直線的なものではなく、ループ状のものだという風に『メッセージ』では描かれています。
私たちは「生」から始まり「死」で終わると思っている人生が、実はどこが始まりなのか分からないという描かれ方をしています。だから、ハンナの死が冒頭で描かれていたのです。
あの時のルイーズにとってはハンナの死は過去のことではなく、これから起きる未来のことだったのです。
そしてこれが監督が『メッセージ』に込めた1番の思い「運命がわかっていた時あなたはどう行きますか?」というところに繋がっていくのです。
映画『メッセージ』のテーマ③・・・言語
主人公のルイーズは言語学者です。そして宇宙人とコミュニケーションを取るために、宇宙人の言語を分析します。
この映画の中ではそれは文字でした。文字を通して宇宙人とコミュニーケーションをとっていきます。そしてそんな未来から来た宇宙人が私たち人間にプレゼントしてくれたのも、言語でした。
この言語が世界を救うのです。この言語によって戦争になろうとしている世界を止める事ができたのです。宇宙人が与えてくれた言語は世界共通言語でした。世界共通言語によって各国が意思疎通ができるようになり平和がやってきます。それを見届けたら宇宙人は地球から去っていってしまいました。
コミュニーケーション不足による様々な問題が起こっている現代に対して、意思疎通の大切さについて考えさせられる場面でもありました。言葉によって世界が1つになったというとても深いシーンでした。
このように3つの深いテーマが隠されているのが『メッセージ』でそれぞれに深い意味が込められています。特に時間の概念に関して考えると分からなくなってくることもあります。しかし逆に何度も映画を見ながら理解していくという楽しみもあります。