Netflix限定作品「アナイアレイション 全滅領域」から見るアレックス・ガーランド監督
「アナイアレイション 全滅領域」の監督アレックス・ガーランドと言えば、前作の2015年に公開された「エクス・マキナ」が世界的に大ヒットし有名になりました。
彼の作品は人類を超えた大きな作品をテーマにしています。それは前作の「エクス・マキナ」でもそうでした。
そのため商業的ではないと言われることもありますが、彼は一貫してテーマを貫いています。人間や個人に焦点を絞って映画が作られることが大きいですが、監督はもっと大きなものをテーマにして作品を作っています。
今回はそんなアレックス・ガーランド監督の作品にみる共通点を探ってみたいと思います。
アレックス・ガーランド監督作品の繋がり
アレックス・ガーランドが脚本・製作総指揮を務めた「わたしを離さないで」では臓器提供用に作られたクローン人間の物語でした。
この映画は2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イジグロ氏のSF小説が原作です。
また初監督作品の「エクス・マキナ」ではA.I.の話でA.I.が反乱を起こすという内容でした。タイトルはラテン語で“機械によって”を意味するラテン語です。
この「アナイアレイション 全滅領域」も含め、3作品は全て「コピー」についての話でした。
コピーされて作られた物が人間を超えていくという物語です。
コピーが人間においてもしくは生物における進化の過程の一部だということを描き、彼の映画のテーマになっているのです。
「アナイアレイション 全滅領域」のテーマはコピー
映画の冒頭は、生物学者であるレナが大学で授業をするところから始まります。彼女が行っていた授業は細胞分裂の授業でした。また過去を思い出すシーンでレナは旦那と細胞分裂について話をしています。
何度も細胞分裂に関するシーンを出すことで、細胞分裂を視聴者に印象付けています。細胞分裂は、細胞が分裂する時に1つの細胞の中からコピーされた細胞が生まれます。そして古い細胞はいずれ死に新しい細胞が取って代わります。
細胞分裂の過程で突然変異が起きます。しかしそれは悪いことではなく、生物の進化にとっては必要なものです。この映画の中で突然変異は人間の細胞だけでなく、植物の細胞との融合が生まれていました。植物の細胞が人間の細胞をコピーし始めていました。最後には人間自身がこのエリアXにいるものに融合してしまいます。
彼がここで言いたかったことはこのエリアXでは突然変異が起こり、全てのものがコピーされ、生物は全てコピーされたもに入れ替わるということが言いたかったのです。つまり、人間が死んでしまうのは、新しいコピーを生む進化の過程で必要なことだということをSF的に描いたのでした。
アレックス・ガーランド監督は人気監督で監督作品も現在撮影中の作品が1本また、脚本に関しては1本が撮影中で構想中のものが3本くらいあります。
今後彼がどのようなテーマを扱って映画を作るのかとても楽しみです。