映画『メッセージ』で陥るパラレルワールドの不思議
SF映画『メッセージ』にはヘプタポッドと名付けられるエイリアンが登場します。彼らの世界には過去・現在・未来という時間軸がありません。彼らが地球に来た目的は3000年後に地球人に助けたもらうために、地球人を助けに来たのです。
ここまでは理解できるのですが、見続けて行くうちに腑に落ちない点が出て来ます。そしてそればかり考えていると抜け出せなくなってしまう世界があります。
今回はそんな『メッセージ』の不思議な点について考えてみました。
「メッセージ」パラレルワールド1・・・世界共通言語がわかる理由の不思議
『メッセージ』の主人公ルイーズは言語学者です。そのためにエイリアンの言語調べるために政府に呼ばれます。彼女は次第にエイリアンとコミュケーションが取れるようになり、なぜエイリアンが地球に来たのかを知ることになります。そして彼らは人間を助けるために言語を教えに来たのだと。
その言語「世界共通言語」があれば戦争も行われず、核兵器による地球の破滅もなくなります。そこまで分かった時に、ルイーズはその言葉を理解しようとしますが、現時点では全くわかりません。しかし、しばらくすると彼女は「分かる」と言って本当に彼らの言語が理解できるのです。
ではなぜ彼女はエイリアンの言語が理解できたのでしょうか?それは未来の自分が「ヘプタポッド文字を理解し本を書いています。それをフラッシュバック映像で見たことによって理解できたわけです。
しかしこのシーン落ち着いて考えると、その未来の自分はどうやって「世界共通言語」を理解したわけ?となってしまいます。
それは未来の自分も同じようにフラッシュバック映像でとなると、またそこで同じ疑問がわきグルグルと回っているパラレルワールドに引きこまれてしまいます。
「メッセージ」パラレルワールド2・・・中国の将軍の電話番号の不思議
「世界共通言語」を理解した時と同じような事がさらに起こります。
ルイーズはエイリアンに攻撃を仕掛けようとしている中国に攻撃をやめさせるために、将軍に直接電話をかけます。しかしルイーズは電話番号を当たり前ですが知りません。
ではどうやってルイーズは電話番号を知ったのでしょうか?それも未来からです。未来の自分の「世界共通言語」の本の出版パーティーに将軍がきています。
そこで将軍と話し電話番号を聞きます。さらにその時に将軍がルイーズに言った言葉を、現在で将軍に伝えた事で、中国は攻撃を止めるのです。
こうなると同じです。じゃあなぜルイーズはその言葉を将軍から聞けたの?となってしまうわけです。これはタイムパラドックスです。未来の自分から教えてもらって、現在の問題を解決しているわけです。
このことを考え始めると、答えは見つからずぐるぐる回っているので、訳がわからなくなってしまいます。
『メッセージ』は最初と最後のシーンも同じだし、エイリアンには時間軸がなく輪のように時間は回っています。
そう考えるとパラレルワールドのぐるぐる回ってしまうというのも、ちょっと理解できるかもしれません。監督はこの映画全体を輪で表現していたかもしれません。
ちょっと難しくて理解できないことも、何回も見ると少しわかってきます。そんな何度も見る面白さも『メッセージ』にはあります。