『刑務所の中』あらすじ・キャストからのおすすめ度
本作はタイトル通り刑務所の中の様子を描いた作品ですが、洋画の脱獄ものによく見られる激しい刑務所内の描写とは違い、全体的に淡々としているのが特徴だと思います。よって誰それが脱獄した、とか囚人同士が殴り合って血を流すシーンなどハードなシーンはありません。主人公であるハナワが主に語るのは、日々の食事の事や、周囲の個性的な人物とのやりとりなどです。そうであるが故のリアリティや怖さ、新鮮味などが感じられ時間があっという間に過ぎました。
獄中のハナワが「結構それなりの食事が出るもんだなぁ」と心の中でつぶやくシーンがありますが、観ていてもそれなりに栄養バランスなどが考えられた食事が出ている様に思えました。普通に生活していても、夕食をカップラーメンやインスタントラーメンなどで済ませたり、偏った食生活をしたりしている人は結構多いのではないでしょうか。この様な事を思うと不謹慎な気もしますが、笑ってしまいました。
また本作は主人公ハナワが、何とか刑務所の中を楽しもうとする姿が描かれている気がしました。食事こそしっかりとしていますが、クロスワードに直接書き込んだだけで懲罰房に移されるなど、そんな事で怒られるのかひやっとするシーンも多々あります。これ以外にも田口トモロヲが演じる田辺が、作業場でトイレに行くシーンなど見所も満載です。
映画「刑務所の中」作品情報・キャスト
題名:刑務所の中(2002年)
原作:花輪和一「刑務所の中」
監督: 崔洋一
脚本:崔洋一,鄭義信,中村義洋
キャスト:山崎努, 花輪和一, 香川照之, 田口トモロヲ, 松重豊
「刑務所の中」あらすじ
主人公であるハナワはガンマニア。しかし趣味にのめり込み過ぎて度を越してしまった為、銃砲刀剣類等不法所持及び火薬類取締法違反の罪で罰せられてしまう。懲役3年の判決を言い渡されたハナワは、他の受刑者達と共に過ごす雑居房に入る事になる。ハナワが入っている303号室のメンバーはお金持ちの息子である伊笠や、覚せい剤取締法違反で捕まった竹伏、間違った漢字で刺青をしてしまった小屋や、二級受刑者である田辺など個性的なメンバーが揃っていた。
正月になると刑務所の中でもおせち料理が出され、受刑者達は栗きんとんや羊羹を食べる事が出来るので皆喜ぶ。また日頃から夜間にはテレビの視聴が、許されている。しかしある日井笠がちょっとした騒動を起こしてしまった為、303号室は全員テレビを見る事を1ヶ月間禁止されてしまう。
更にハナワら303号室のメンバーは出所後に連絡が取れる様便箋をちぎり、交換し合った事がばれてしまい、懲罰房に入れられてしまう。しかしこの一人で過ごせる懲罰房が、ハナワにとっては思いの外快適な環境であり、たった一人で薬袋作りの作業に励みます。3畳ほどのトイレも付いていない部屋ですが、ノルマをこなす事にやりがいを感じるハナワは黙々とひたすら作業に励んでいく。
映画「刑務所の中」おすすめ度 ★★★★
花輪和一が銃砲刀剣類不法所持、火薬類取締法違反で懲役3年を受け服役した実体験を元にした漫画が原作。手塚治虫文化賞の最有力候補となったが、花輪の意向で辞退したとのこと。映画では刑務所で繰り広げられる日常が淡々と描かれていて、個性あふれる受刑者たちとハナワの連帯感が結ばれていく様がなんともいえません。面白いの一言につきます。
[colored_bg color=”light‐blue” corner=”r”] 『刑務所の中』を無料動画で探してみませんか?
[right_link image=”arrow1-g” url=”/movie-drama-videoservice/” target=”blank”]探してみたい方はこちらから[/right_link]
[/colored_bg]
映画賞受賞歴/刑務所の中
第28回報知映画賞/刑務所の中
- 作品賞
第58回毎日映画コンクール/刑務所の中
- 監督賞:崔洋一
第45回ブルーリボン賞/刑務所の中
- 監督賞:崔洋一
第76回(2002年)キネマ旬報ベストテン/刑務所の中
- 第2位