映画「ムーンライト」の評価と作品に込められた思い
アカデミー賞作品賞を受賞した『ムーンライト』が製作されるようになったのは、1つの偶然から始まりました。
そしてその偶然がこの偉大な作品を作り上げたのです。
監督と脚本家に起こった偶然から、『ムーンライト』に込められて、2人の思いと評価について見てみたいと思います。
映画「ムーンライト」は偶然から生まれた
『ムーンライト』の原作は脚本を担当したタレル・アルヴィン・マクレイニーが書いた戯曲が元になっています。
タレル・アルヴィン・マクレイニーはもともとたくさんの戯曲を書いていましたが、この「In Moonlight Black Boys Look Blue」は母親が死んだとことをきっかけに、自分の内に秘めていた思いを書いた作品でした。
しかし彼は個人的な事でもあるこの戯曲を特に誰にも見せることなくしまっておきました。偶然同じ映画イベントに参加していた2人ですが面識はなく、友人を介して原作を目にしたのが監督のバリー・ジェンキンスでした。
その時、彼は「In Moonlight Black Boys Look Blue」がゲイについて書かれているので、自分には関係ない話だと思って映画にすることを考えていませんでした。
1度は無くなりそうになった話でしたが、実はバリー・ジェンキンスとタレル・アルヴィン・マクレイニーは同じ小学校に通っていて、1歳違いでした。しかも2人は母親がドラッグをやっているという育った環境も似ていたのでした。
この繋がりに縁を感じたバリー・ジェンキンスが作品にしたいと思い直し、出来上がったのが映画『ムーンライト』です。
「ムーンライト」への評価と監督、脚本家の思い
『ムーンライト』の登場人物はほとんどが黒人です。さらに主人公のシャロンは貧困でゲイです。ハリウッド映画ではマイノリティであって、なかなか彼らに焦点を当てた映画を見る事はできません。
アカデミー賞で脚本賞を受賞した時、監督のバリー・ジェンキンスはこうスピーチしました。
「自分達を映す鏡がないと思っている人を支えます」と。
この言葉はかなり深い意味が込められています。鏡とは、映画やテレビなどの事です。
そこに登場する人物に、自分が共感できる人がいないと思っている人を助けますと言ったのです。
マイノリティの人達が主役の作品が少なくて、自分達のような存在がは映画やドラマに出てこないんだと、思っている人はたくさんいると思います。特に子供にとってはそれは悲しい事かもしれません。
バリー・ジェンキンスはそんな人達のために立ち上がったのです。そして彼は最後に「見捨てません」と言いました。とても素敵なスピーチで多くの人が感動しました。
今後、ハリウッドでもマイノリティの人が普通に登場する作品がたくさんできる事を期待してます。そしてそれは日本でも同じかもしれません。