『スリービルボード 』のキャストと人物像の変化が深い!
『スリービルボード 』に出演したフランシス・マクドーマンドはアカデミー賞主演女優賞に、ウディ・ハレルソンとサム・ロックウェルはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。
そしてフランシス・マクドーマンドとサム・ロックウェルは各賞を受賞しました。それだけこの『スリービルボード 』は俳優達の演技が光った映画です。
「スリー・ビルボード」のミルドレッド
この映画のの主人公がミルドレッドで、演じているのはフランシス・マクドマンドです。
彼女は娘を殺された事件に不満を持ち看板を出します。それによって小さな田舎町で色んなことが起こり始めます。娘を殺され、しかも犯人がまだ捕まっていないことから、最初は彼女に同情してしまいます。
しかし実は彼女は凶暴な人物だったのです。娘が生きているときは娘に向かって暴言を吐きます。さらに自分が出した看板が燃やされると警察署に火炎瓶を投げつけます。最初の印象とは違い、実はとても暴力的な人物だったのです。
「スリー・ビルボード」のウィロビー署長
ミルドレッドの娘が殺された事件の捜査をしていますが、犯人は捕まりません。しかも今ではその捜査も未解決事件として扱われていました。
その署長を演じるのは、ウディ・ハレソンです。最初は捜査をちゃんとしていないダメな署長かな?と思うのですが、実は常に町のことを考えている優しい人物でした。彼は末期ガンを患っていました。優しい彼が選んだ道は家族に迷惑をかけたくないという道でした。彼は自分で命をたってしまいます。
それだけではなくミルドレッドとディクソンに手紙を残します。ミルドレッドには手紙以外に、事件が風化しないようになんと看板のお金を払うのです。ディクソンには愛が必要だという事を伝えます。彼は事件の捜査をしていたし、誠実な人物だったのです。
「スリー・ビルボード」のディクソン巡査
差別主義で怒りを抑えられないディクソンは看板を出したミルドレッドを脅し、広告会社の社長をボコボコに殴ります。彼は誰よりもひどいダメ人間でした。この巡査を演じているのはサム・ロックウェルです。
でも彼がそんな態度を取るのは実は理由があったのです。映画では直接的な表現では描かれていませんが、ディクソンはゲイだったのです。それを隠すために、凶暴な態度をとっていたのです。
ウィロビー署長はディクソンの秘密に気がついていました。だから手紙で彼に怒りを抑え、愛が必要だと伝えたのです。密かに彼に好意を寄せていたディクソンはこの手紙をきっかに変わります。そしてミルドレッドのために事件を解決しようと動きます。彼はいつしか良い人になっていたのです。
『スリービルボード 』の中に登場する人物は最初に抱いた印象が、物語が進むにつれて変わっていきます。その変化に監督が伝えたかったメッセージが込められています。
- 人を許すことの大切さ
- 人は見た目ではない
- いい人はちゃんといる
3人の性格や気持ちの変化を通してこんなことを観客に伝えようとしている映画でした。