7分の感動フィルムが原作 Netflix「カーゴ」は異色のゾンビ映画が泣ける!
「カーゴ」は、わずか7分間のショートムービーとして公開されたオーストラリア映画「Cargo」が元になっています。
ゾンビに感染した父親が赤ん坊の娘を背負い、人を探して歩き続け、やがて発症してゾンビ化すると目の前にぶら下げた肉につられることで背中の娘を襲わずに歩き続ける……というストーリーは、ほとんどセリフもない中で、これ以上なくシンプルに「父親の愛」を描いています。
世界最大のショートフィルムの祭典「Tropfest」でも大きな注目を集めたこの作品は、「ゾンビ映画」というジャンルそのものに新しい風を吹き込んだ画期的な傑作として世界中で話題に。1500万再生を超えるヒットを記録しています。
意外な展開で生まれた「カーゴ」は、原作の良さをさらにブラッシュアップして、異色ながら傑作のゾンビ映画として生まれ変わっています。ショートムービー版を一度観てから「カーゴ」の方に臨むと、「ここにこんな要素が加えられたのか」「ここでこのシーンが来るのか」と、どんな風に肉付けがされたのかが比較出来て面白いですよ。
Netflix「カーゴ」概要
題名:カーゴ/Cargo(オーストラリア 2017年)
監督:ベン・ハウリング、ヨランダ・ラムケ
原作:ショートフィルム「Cargo」2013年
キャスト:マーティン・フリーマン、アンソニー・ヘイズ、スージー・ポーター、カレン・ピストリウス
Netflix「カーゴ」あらすじ
人間をゾンビ化させるウイルスが蔓延し、社会が崩壊したオーストラリア。中年男性のアンディ(マーティン・フリーマン)は、妻のケイ(スージー・ポーター)とまだ赤ん坊の娘ロージーを連れて、川の沖合の船を安全地帯にして暮らしていた。
ところがある日、漂流ボートから物資をとろうとしたケイがボート内にいたゾンビに噛まれ、感染してしまう。アンディたちは船を捨てて地上に上がり、治療法を求めて陸地を移動するが、奔走むなしくケイは発症し、今度はアンディが噛まれて感染してしまうのだった。
自分が発症するまでの48時間のタイムリミットが迫る中、アンディはロージーを連れて旅をしていく。ところがなかなかロージーを任せられる人物や村・町は見つからず、時間だけが刻一刻と過ぎていきく、、。
「カーゴ(Cargo)」原作の監督コンビを起用して長編映画化
ショートフィルム「Cargo」に、オーストラリアならではの設定やより重厚な人間ドラマを加えて長編映画にしたのがこの「カーゴ」です。世界的にはNetflixオリジナル配信作品としてリリースされたこの映画ですが、作品の生まれ故郷オーストラリアでは劇場公開もされたそうです。
原作の「父親の愛を極限の形で描く」というコンセプトはそのままに、様々な人々の生き様を描くヒューマンドラマとしても、ゾンビだらけの世界を生き延びるサバイバルホラーとしても掘り下げられ、奥行きのあるストーリーに仕上がっています。
さらに、長編版「カーゴ」の監督を務めたのは、原作となったショートフィルムの監督であるベン・ハウリングとヨランダ・ラムケ本人です。「アイデアの光る良作を生み出した気鋭のクリエイターが、そのまま長編映画の監督というチャンスを掴む」というのは、とても夢がある話ですね。